~駒寄農場「ブルーベリー・お米」オーナー制度の楽しみ~
*始まりは?
駒寄農場に初めてブルーベリーが植えられたのは37年前ですが、私が本格的に栽培
に関わり始めたのは15年前からです。6月下旬頃、ブルーベリー園ではたわわに実った
果実の重みで枝が垂れ下がっている様子を見ると思わず「うわぁっ‼」ってうれしくなりま
す。
この感激をぜひ、たくさんの人に味わってもらいたいと思い、摘み取り園を始めました。
予想以上に多くのお客様が山の中のブルーベリー園に足を運んでくださり、新鮮なブ
ルーベリーを食べて「美味しい!」と言ってくれるのは農家として大きな喜びでした。その
一方、問題点として500本しかない駒寄農場の規模では摘み取りのお客様が増えると、
出荷用のブルーベリーが足りなくなることが起きてきました。また、時々お客様が帰られ
た後にブルーベリーの木の周りにブルーベリーの果実が散らばり、踏まれている様子を
見ることは悲しいことでした。
摘み取り園を初めてから2,3年が経過した頃、「オーナー制度」にすればよいというアド
バイスをくださる方がいました。それはいいとさっそく準備を始めました。平成20年にログ
ハウスが完成し、ピザ窯もできてお客様を受け入れる施設はできていましたので手作り
のチラシを作り、知り合いに声をかけていきました。
*オーナーさんとの交流
オーナー募集は最初から20人限定と決めていました。オーナーさんと楽しくコミュニ
ケーションをとるには20人くらいが適切と思われたからです。オーナーさんは地元の人
や関西、関東等から参加してくれました。
オーナーさん同士が交流できたら楽しいだろうなと思い、収穫祭を企画しました。第1回
目はあいにくのどしゃ降りの雨となり、皆さん傘をさしたり、雨合羽を着たりしてたいへん
な収穫となりましたが、今は忘れられない良い思い出となっています。
←こちらは第1回目の収穫祭の様子。
ガラスの向こうが曇って見えますが、
雨が降っているのです。
1年目から12年が経過してずっと継続してくれているオーナーさんもいます。この12年の
間にたくさんのオーナーさんと出会い、心に残る思い出がたくさんできました。その中か
ら2組のオーナーさんとの出会いをご紹介します。
オーナー制を始めて2,3年後のことです。ある日、若い男性の方からお電話をいただき
ました。何人かの仲間でブルーベリー園を見学させてほしいということで、休日に時間を
決めました。ブルーベリー園で待っていると爆音とともに大きなバイクが5.6台と外車が
1台山道を登ってきました。予想外の展開にちょっとびっくりしましたが、降りてきた若者
たちは皆さん、とても礼儀正しくさわやかな方ばかりでした。この方たちの目的は結婚す
る友人にお祝いとしてブルーベリーの木オーナーをプレゼントしたいということでした。
すごくステキなプレゼントだなと思い、きっと喜んでもらえると思いました。結婚されたオー
ナーさんも2回お二人で収穫にいらっしゃり、楽しんで行かれました。
もう1組は大阪からのご家族で今も8年間継続してブルーベリーとお米両方のオーナー
さんとして参加してくれています。
←こちらが、当時の彼らです。今では大学生と高校生。
お父さんがホームページを見て申し込まれ、奥さんと2人の息子さん4人で初めて来園
された時にお米を作っている田んぼにご案内しました。
この時、車から降りた小3の次男くんは周りを見て「うわ~俺らしかいねえ!」と驚いてい
ました。ふだんは大阪の中心地で生活していてにぎやかなのが当たり前だったんです
ね。私の方は逆に誰もいないのが当たり前だったので次男くんの驚きが新鮮でした。新
しい価値を教えてもらった気がしました。彼はもう高校生になっています。毎年、朝5時く
らいに大阪を出発してブルーベリー園に来てくれるお父さんは「ぼくらも頑張って来ます
から、駒寄さんも頑張って続けてくださいね。」と言ってくれます。それは農家にとってとて
もありがたく元気の出る言葉です。
*オーナー制度の楽しみ
オーナー制度の主役はオーナーさんです。私たちはオーナーさんにどんなふうに楽し
んでもらうかを考えますが、一番は自然の中で収穫の喜びを体験してもらうことです。ブ
ルーベリーも摘み取ってすぐに食べるのが一番美味しいです。
オーナーさんが「美味しい!」と言ってくれること、楽しんでくれることが農家としては一
番の喜びであり、農作業を頑張るエネルギーとなります。こうしてオーナー制度はお客様
も私たち農園スタッフも楽しめる企画となり、13年目を迎えることになりました。